2026年10月18日日曜日

会派管外視察イン大分県宇佐市&福岡県朝倉市・宗像市

  今回の視察は会派3名でのんびりとした視察。今までは人数もあり色々と手分けをしてでしたが3名だといかようにでも対応できるので気が楽です。とはいえ、帰るまで何が起きるか分からないのも視察ですが・・・

■視察期間

 2026年10月6日(火)~10月8日(木)

■第1日目

乗り継ぎがうまくいかずに到着してもまだ1時間以上の余裕が!
タクシーで宇佐八幡宮まで行ってみたものの本宮まで届かず

〇大分県宇佐市
視察テーマ「人口減少時代における持続可能な地域コミュニティづくりについて」

 平成17年(2005年)に1市2町(旧宇佐市・院内町・安心院町)が対等合併。人口は約5万人(合併時の約6万人から20年で1万人減少)、面積は約440km²。
 宇佐神宮(初詣約40万人)、双葉山生誕の地、焼酎(いいちこ)、すっぽん、大分から揚げなどで知られる県内有数の穀倉地帯。全国八幡社の総本宮、国宝宇佐神宮は、近年パワースポットとしても注目を集め、本殿前の御神木に触れ、お祈りをすると願いが叶うと有名。日本の滝百選にも選ばれた東椎屋の滝や、耶馬渓溶岩でできた1枚岩の上で沢歩きが楽しめる岳切渓谷、景観が南米ペルーのマチュピチュに似ていると話題になっている“宇佐のマチュピチュ”など、一目見る「価値」ある観光地がたくさんある。相撲界で不滅の69連勝という大記録を打ちたて、1年2場所の時代に全勝優勝8回を含む12回の優勝など偉大な業績を残した双葉山の出身地であり「勝ち」があるまち。
 市町村合併に伴い「周辺部の住民の声が届きにくくなった」という懸念や高齢化に対応するため、平成20年度(2008年度)より小学校区単位で19の「地域コミュニティ組織(まちづくり協議会)」を設置。


議場はイギリス型とのこと
初めて見ましたが良い雰囲気です

市の概要(基本データ)

宇佐市
人口(R8/9/30)
50,557人
面積
439.05㎢
産業別
第1次 11.2%
第2次 30.2%
第3次 58.5%
分類不能 0.1%
就業人口
25,766人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
豊岡市
人口(R8/9/30)
72,666人
面積
697.55㎢
産業別
第1次 5.6%
第2次 26.6%
第3次 66.5%
分類不能 1.3%
就業人口
39,194人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時


■主な事業内容・取り組み
・「10年間のまちづくり計画」と協定締結
 設立時および10年経過時に全世帯アンケートを実施し「10年間のまちづくり計画書」を策定。市と組織間で協働協定を締結して活動を進めている。
・「自立運営事業交付金」と段階的減額(10年ルール)
 設立から10年間は人件費や運営費として交付金を交付するが、10年経過後は自立を促すため交付額を段階的に減額調整する仕組みを導入している。
・自主財源獲得(ふるさと納税活用・法人化)
 「〇〇協議会を支援」と指定されたふるさと納税を直接交付金として還元(例:「安心院のまな板」等の返礼品開発)。さらに自主事業で利益を出しやすくするため、協議会の法人化を目指す動きが出ている。
・「スポット伴走型支援」への転換
 以前は地域おこし協力隊を各協議会に常駐させていたが、隊員数減少に伴い、ノウハウを持つ人材を必要な事業・時期に派遣するスポット伴走型支援へ切り替えた。
・自治会の補完と地域行事の維持
 自治会(区)単独では維持困難となった盆踊りや運動会をコミュニティ全体で共同開催するほか、放課後児童クラブ支援や「放課後チャレンジ教室」(ものづくり等の体験学習)を受託・運営している。

■成果と課題
・成果
 「自分たちの地域は自分たちで良くしよう」という意識が広がり、自主財源獲得や法人化に向けた先進的な挑戦が生まれている。
・課題
 10年経過後の交付金減額に伴う自主財源確保の難しさ、役員や事務局の高齢化があり、担い手不足により1協議会が解散に至ったケース(解散の連鎖防止と後継者育成が課題)も発生している。

ー所感ー
 村部型の地域コミュニティについて、高齢化により解散した協議会もあり、ある意味では豊岡よりもさらに状況が進んでいたとも言える。取り組みたいことがある若い方にブレーキを踏む地域の先輩がいたり、都市部ではなかなか取り組みが進まない実情は豊岡と同じレベルかと。稼ぐ受け皿として法人化を進めていることや協議会と協定を結び、ふるさと納税返礼品に取り入れる仕組みは豊岡市でも参考になる取り組みかと。いずれにせよ自分たちの地域は自分たちで守る姿勢は今後ますます重要になります。

■第2日目
〇福岡県朝倉市
視察テーマ「豪雨災害からの復興づくりと地域防災の向上について」

 平成18年(2006年)に甘木市・朝倉町・杷木町が合併(人口約4.7万人)。筑前の小京都秋月、原鶴温泉、日本最古の「三連水車(山田堰、中村哲医師のアフガニスタン用水路モデル)」で知られる。また、夏の風物詩である鵜飼は全国的に有名で奈良時代からおこなわれていたとされる。春には桜で有名な甘木公園もある。
 平成29年(2017年)7月の九州北部豪雨により、9時間で774mmという観測史上最大の記録的豪雨に見舞われ、死者・行方不明者33名、被害額1,941億円の大惨事となった。新庁舎建設を6年凍結して復興を最優先に推進した。


今年1月に開庁した新庁舎
逆サイドに渇水対策本部が掲げられていました

市の概要(基本データ)

朝倉市
人口(R8/9/1)
46,968人
面積
246.71㎢
産業別
第1次 14.6%
第2次 24.8%
第3次 58.1%
分類不能 2.5%
就業人口
25,113人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
豊岡市
人口(R8/9/30)
72,666人
面積
697.55㎢
産業別
第1次 5.6%
第2次 26.6%
第3次 66.5%
分類不能 1.3%
就業人口
39,194人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時


■主な事業内容・取り組み
・対話を重視した「ボトムアップの復興計画」
 被災直後、17のコミュニティ内にある10の「まちづくり協議会」等ごとに復興会議体を設置。当初は住民からの不満や怒号が噴出したが、職員や議員が逃げずに対話を重ね、7月から翌3月までに住民自身の手で「復興計画」、2年後に「実施計画」を策定した。
・全国初の「権限代行制度」の活用
 市や県の手に負えない大規模な河川(赤谷川)改良復旧、巨大砂防堰堤群整備、土砂崩落対策に対し、国や県が直接施工する権限代行制度を全国で初めて適用した。これにより令和5年7月豪雨時には砂防堰堤が土砂・流木を捕獲し、人的被害ゼロという大きな効果を発揮した。
・40億円超の「義援金」の迅速直接配分
  全国から寄せられた40億円を超える義援金を市で蓄積せず、罹災証明に基づき被災世帯へ早期・多段階で直接給付。1,069世帯の自力再建(新築・補修等)における最大の現金裏付けとなった。
・外部NPOとの協働とコミュニティ防災
 社協だけでなく外部の災害支援NPO(ピースプロジェクト等)と協働して避難所運営やボランティア調整を実施。コミュニティセンターを防災拠点に位置付け、防災アプリ「コスモキャスト」の導入や要配慮者の「個別避難計画」策定を推進した。

■成果と課題
・成果
 インフラの劇的な強化に加え、被災を乗り越える過程で住民同士および行政との対話が深まり、「自分たちの地域は自分で守る」という防災・共助意識が格段に強まった。
・課題
 被災者の約3割が他地区へ移転したことによる地域の再編・高齢化、生活再建に伴う被災者の精神的ケア、平時からの外部支援団体・NPOとの連絡体制の維持が挙げられる。

-所感-
 災害時にコミュニティ組織があった朝倉市となかった豊岡市はかなり差があると感じた。またコミュニティ会長のリーダーシップによる地域差も大きく、まちづくり協議会との協業による復興計画作成など随所に参考事例があふれていた。
 全国から寄せられた義援金約40億が生活再建に果たした役割は大きく、全ての災害復旧が10年でほぼ完了し対策室を解散してこの4月から通常の担当課に戻した朝倉市。今なお工事が進んでいる豊岡市とは雲泥の差である。
 全国から駆け付けるNPOやボランティア団体との協働体制は速やかに平時に構築されたいと思う。そして渇水対策本部が立ち上がっている状態であったことも皮肉な自然環境だなと感じた。
・こぼれ話
 電車が遅れ、乗継列車がいないところからスタート。余裕をもって移動していたために遅れても間に合った。ちなみにタクシーの運転手さんがメーターをつけ忘れ、市役所前でワンメーター分のみ。

〇福岡県宗像市
視察テーマ「自治会の担い手不足に対応する地域コミュニティのあり方について」

 福岡市と北九州市の中間に位置する人口約9.6万人のベッドタウン。周囲を山に囲まれ、玄界灘に4つの離島を有している。農業や水産業が盛んで、特に玄界灘からは多くの水産物が水揚げされる。また、四世紀から九世紀の間、大陸との交流が盛んで航海の安全を祈る祭祀が行われた歴史があり、2017年7月に「『神宿る島』・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産に登録された。
 市内には140の自治会と、小学校区などを単位とする12地区の「コミュニティ運営協議会」が設置されている。
 市職員数は約450名と少なく、病院やゴミ処理などを外部委託(外注化)してきたコンパクトな行政基盤を持つため、昭和50年代から「地域の課題は地域住民と一緒に解決する」という思想が定着している。

市の概要(基本データ)

宗像市
人口(R8/9/30)
96,563人
面積
119.94㎢
産業別
第1次 3.4%
第2次 21.1%
第3次 74.5%
分類不能 1.0%
就業人口
41,782人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
豊岡市
人口(R8/9/30)
72,666人
面積
697.55㎢
産業別
第1次 5.6%
第2次 26.6%
第3次 66.5%
分類不能 1.3%
就業人口
39,194人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時



議場内のプロジェクターにてお出迎え

■主な事業内容・取り組み
①市民手作りの協働条例と「3つの自己」
 市民参画協働及びコミュニティ活動推進条例(平成17年制定): 市が素案を作って提示するのではなく、市民・専門家による検討委員会が白紙の状態から1年2ヶ月・25回にわたり議論を重ねて条文原案を作成した。
 基本理念: 住民一人ひとりが「自己決定・自己実現・自己責任」の考え方を持って主体的にまちづくりに関わることを基本姿勢とし、対等な立場で目標と役割を分担する「協働」を軸としている。
②「まちづくり交付金」とコミュニティセンター指定管理の一体化
 一括交付金制度: 従来の縦割り補助金を廃止し、使い道を細かく限定しない「まちづくり交付金」(全地区合計約1.6億円)を一括交付している。
 指定管理料と人件費の一体支援: 全12地区それぞれに1つずつ設置されている「コミュニティセンター」の管理運営をコミュニティ運営協議会へ指定管理委託しており、事務局人件費も含めた指定管理料を交付金とは別に交付して活動拠点を保障している。
 8つの重点分野: 「子育て支援」「青少年の育成」「高齢者の生きがいづくり」「防犯防災」「環境」「文化スポーツ」「地域振興」「障害福祉」の8分野から、地域が自らの課題に応じて自由に予算配分や事業割合を決定する仕組みになっている。
③自治会の負担軽減イノベーション
 広報誌ポスティングの完全移行: 自治会役員(組長・班長等)の最大の負担となっていた「市広報誌の手渡し配布」を全全廃し、民間事業者によるポスティング(全戸配布)へ完全移行した。
 公式LINEを活用した「デジタル回覧板」: 12地区中8地区で導入され、行政やコミュニティからの回覧物・イベント案内・緊急通知(雨天時の閉館連絡等)をLINEで一括配信し、紙回覧の省力化・迅速化を図っている。
 役所内の「自治会加入ブース」設置: 転入者が集中する3月下旬〜4月上旬の9日間、市役所の総合案内横に特設ブースを開設し、チラシ・ティッシュの配布や自治会加入に関する疑問・相談に直接対応している。
④行政の伴走支援と事業最適化(プロジェクト)
 週1回の直接訪問: コミュニティ協働推進課の担当職員(6名が1人2地区を担当)が、週に1回以上必ず各コミュニティセンターを訪問し、日頃の雑談や会議・イベントへの同席を通じて信頼関係を構築し、トラブルや予算運用の相談に対応している。
 事業最適化・原点回帰プロジェクト: 「自治会長になれば自動的にコミュニティ役員(当て職)になる」という強制ルールを任意化して会議出席等の負担を軽減したほか、前例踏襲のイベントを精査・見直す取組を行っている。

■成果と課題
・成果
 20年におよぶ取り組みにより、近隣自治体と比較しても住民が地域の課題を自立的・主体的に議論し、防災や福祉に力を入れる体制が築かれている。
・課題
 制度が定着した一方で「住民主体のまちづくりが当たり前」化し、本来の目的や意義が薄れる傾向が見られるため、第3次コミュニティ基本構想基本計画のもとで原点回帰や世代交代に向けた意識共有を進めている。

-所感-
 市の職員数が少ないのは人口約2万人当時、鉄道電化によるベットタウン化で急激に増えたが職員数に反映出来なかったとのこと。そのため外注出来ることは全て外に出す文化が定着し、病院もゴミも外部化。
 また区長の委嘱は現在コミュニティ会長がされており、区とコミュニティの関係性を正常化する一つの方策と考える。
 多くの補助金を整理してコミュニティ交付金に一本化している点や区長手当見直しと区の事務量を減らすため、市広報配布を民間委託している点は大変興味深い。最終的には市長の熱意が施策を動かすことになるとの言葉はまちづくりの根幹施策であることを表している。まだまだ学ぶべき点が多い宗像市でした。


最終日に太宰府天満宮へ
先月9月にお披露目されたばかりの新本殿

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