2019年7月20日土曜日

特別委員会で鳥取へ

 議会の人口減少等対策特別委員会のメンバーで7月11日から12日にかけて、お隣の鳥取県に管外視察へ行ってきました。分けて掲載した方が良いか悩みましたが一挙に行きます!長文ですがお付き合いください。

-スペック比較-
八頭町 人口 17,108人(H31-4-1)、面積 206.71km2
 産業別 第1次 17.3% 第2次 24.1% 第3次 58.7% 分類不能 0.0%(2015)
 就業人口 9,261人(2015)
智頭町 人口 6,954人(H31-4-1)、面積 224.70km2
 産業別 第1次 11.7% 第2次 33.1% 第3次 55.1% 分類不能 0.0%(2015)
 就業人口 3,383人(2015)
倉吉市 人口 47,017人(H31-4-1)、面積 272.06km2
 産業別 第1次 10.0% 第2次 22.2% 第3次 66.3% 分類不能 1.5%(2015)
 就業人口 23,953人(2015)

豊岡市 人口 81,416人(H31-4-1)、面積 697.55km2 
 産業別 第1次 6.1% 第2次 27.0% 第3次 65.1% 分類不能 1.8%
 就業人口 40,709人

近くてもなかなか縁がない鳥取。移住定住施策のターゲットは京阪神よりも東京を中心とする首都圏にあり、そこには田中角栄氏による山陰新幹線より空港であるというアドバイス、慧眼があったとのこと。国家百年の計の一端を見た気がしました。
比較するいずれの市町も現・豊岡市より小さいのですが、旧市町単位で考えるとそれぞれがいずれかの地域に似通っています。また八頭町は但東や竹田、智頭町は和田山、倉吉市は出石や八鹿に似た雰囲気があり、親近感を覚えました。

八頭町-八頭イノベーションプロジェクト-

H6築という比較的新しい小学校のリノベーションを第1期地方創生総合戦略の中で取り組み、隼Labというまちづくりの挑戦エリア整備へと至ったとのこと。安く手軽に起業できる。フリーランスクリエーターと協働できる場所。
失敗は地元とつながりがない→地元に経済的循環→教育・・・人材育成へ

秀逸だったのは、地域の問題に向き合う地元姿勢と良い提携先を探す企業の取り組む姿勢が出会い、ソフトバンクグループのSBHC(人材マッチング会社)と共に廃校をリノベーションする機会が持てたこと。

「リスクのないことをやっていても町は変わらない」

SBHCとともに施設を作り上げた関係から、ソフトバンクグループとは自動運転バスの実証実験やプログラミング教育でもタッグを組んでいる。

・運営:当初町出資のまちづくり会社を想定したがフットワークが悪いなどから、賛同してもらっていた企業の出資により運営会社・株式会社シーセブンハヤブサを竣工より先に設立。スローガンに挑む、活かす、生み出す、続ける。を掲げている。
・人材:民間にお任せしようという発想のもと、地域を盛り上げる人材とともに隼地区及び隼Lab.連携運営協議会を設立(シーセブンハヤブサ、隼創生会、行政による)。人口が減っても元気な地域づくりを目指している。※SBHCの紹介で町の企業セミナー講師に著名な講師を多数呼ぶことが出来、隼アカデミーの受講者はキャンセル待ちが出るほど。
・その他:また八頭町では大江の郷自然牧場で昼食でしたが、年間60万人の観光入れ込み客のうちこの施設だけで30万人とのこと。三田市にあるエスコヤマや近江八幡市のラ コリーナ近江八幡のような施設が但東町のような風景の中にある異質感、優れた人による経営力の賜物だと改めて感じた。

智頭町-移住定住推進・活性化の取り組み-

5月に人口7千人を下回った智頭町。キープ目標を5千人としている。6校あった小学校は1校に。
都会のストレスから逃れ、癒しを求めて来町を促す「疎開」というキャッチフレーズを施策の柱に据え、2%の農地を活用保全する「智頭野菜新選組」や災害時の7日分の避難受入のための「疎開保険」など独自の施策を展開。

まちの移住施策の目玉である「森のようちえん」。この事業を生み出した「百人委員会」という提案型地域おこしの取り組みと集落のやる気と活動を支援するために10年間で300万円助成する「日本1/0むらおこし運動」(=住民一人一人がゼロから一への一歩を踏み出そうという運動)が、住民主体のまちづくりが元気と知恵の源泉である。また選ばれる理由として森のようちえん、住民主体のまちのほかにイベントが多いことが挙げられており、イベントに携わる移住者は多い。

・百人委員会:商工・観光や生活環境、健康、林業、特産農業、教育・文化、獣害対策の各部会を設け、企画書・予算案を作成し当局と予算公開ヒアリングを実施、事業化を目指す取組み→高校生を除く18歳以上の町民などで組織、移住者も多く含まれ委員の中からこれまで4名議員が出た。また中高生の参加も実施し事業化も。
・地区ゼロイチ運動:ホップ(集落)→ステップ(地区)→ジャンプ(町)へとつなげる取り組みで、ボトムアップを基本とする住民自治。地区振興協議会が事業主体であり、豊岡におけるコミュニティ組織。ただ内容がまるで異なり、地区と行政が互いに補完しながら地域課題の解決を図りつつ地域づくりを目指すもの。
・新たな特産品開発からキクラゲ栽培を事業化、一般社団法人とみざわを設立した。
・都会の方から見ると煩わしい田舎にスムーズになじむために、移住者の自治会での歓迎会に対する補助制度がある。(倉吉市も同様制度あり)
・町面積の93%が山林という中、町産材を使った定住促進賃貸住宅を一般財源で整備し、20年定住した暁にはプレゼントするとのこと。850万円に対して1棟当たり1600万円程度の整備費。高いと見るか安いと見るか・・・
・空き家住宅再生事業では、使われなくなった住宅を町が借り受け改修。町外子育て世代に貸し出し、家賃計算して回収。
・おためし住宅は3棟。うち町管理1棟、集落管理2棟。
・空き家バンクは町が間に入ってマッチングしている。

・働く場:目立った企業はなく、鳥取市にアクセスが近いこと。移住者は仕事を持っている人が多い。
・その他:A4封筒をハサミで切ると長3封筒になる、議会事務局長の名刺を持っていくと重要文化財である石谷家住宅への入場が無料となるなど様々な点で創意工夫が見られた。


倉吉市-移住定住推進施策-

まず最初に独特の雰囲気がある市庁舎が印象的でした。聞けば建築家は丹下健三で1957年築とのこと。議場も傍聴席の椅子も当時のものだとか。今見ても決して古びていないデザインですが、使い勝手とか高さなど少し厳しいものがあるようでした。登録有形文化財になっているとのことで、公共施設再編真っ盛りの昨今、今後は庁舎問題があるのかもと思ってしまいました。

智頭町に引き続き、今度は都市部での移住定住施策をお聞きしました。
倉吉市の施策の特徴は20代・30代の移住者が多いこと、また市内企業への就職面接の際に交通費助成をしていること、移住アドバイザーとして先輩移住者に時給を支払って相談からフォローまで対応してもらっていることなど、きめの細かい対応が際立っていました。子育て丸ごと応援移住1000人プロジェクト(5年間:地方創生総合戦略)を真剣に取り組んだ結果と思う。

「移住者の満足度を上げることが次の移住につながると考える」

・空き家バンク:空き家にポスティング、県の宅建協会と協力するなどしっかりと実施。また固定資産税の納付書に空き家についての案内を掲載。
・移住定住専門員:来ていただくことをゴールに紹介を実施。
 移住者を増やすのに、金銭的補助は即効性があり最後の決断にはプラスだが子育て支援制度の充実に努めている→湯梨浜町や北栄町など近隣町に転出傾向もある。
・地域との関わり:公民館活動などを通じて溶け込みやすさを→受入支援事業交付金
・サポート体制強化:移住者の暮らしやすさにつながる。アドバイスや相談にしっかり乗ることを大切に。
・おためし住宅:住みわけができるようにシーンごとに4種類→集落支援員が手伝い
・移住アドバイザー:地域のプレイヤーであることが大きい。実際に移住者に接する中1)仕事、2)住まい、3)子育てが相談の多い順番とのこと。

アドバイザーの方の事例発表がそれぞれ素晴らしく、「まちづくりは人づくり。関わる人がパワーアップすることで町が活性化する」という言葉はその通りだと思いました。また「町並みも空き地も移住者も資源。あるだけでは動かないのでプレイヤーが動ける環境を!」との言葉には同感でした。

今回の視察は主に人口減少対策として様々な施策をされている市町を、鳥取県選出の代議士である石破事務所を通じてご紹介いただいたとのこと。本当にありがとうございました。

2019年7月1日月曜日

議会月の6月を終えて

年に4回の通常議会ですが、この6月は議会以外の事業でも充実しすぎていました。
現役世代が議員を担う上で色々と考えさせられたので、主だった予定を書きだしてみます。

1日(土):(議員)植村直己冒険賞授賞式と受賞者を囲む会
2日(日):(小学校)小学校リサイクル活動
6日(木)~8日(土):(中学校)近梅祭バザー
7日(金):(議員)議会開会日
12日(水):(実行委員1)夏まつり区長会会議
14日(金):(実行委員2)まちゼミ外部協議
16日(日):(隣保長)公民館掃除
17日(月)~21日(金):(議員)一般質問、委員会
22日(土):(議員)SDGs講演会
23日(日):(隣保長)お地蔵さんめぐり、(議員)選挙関連
25日(火):(議員)議会ICTプロジェクト会議、(隣保長)区役員会
26日(水):(商工会)文章の書き方セミナー
27日(木):(個人)コミュニティ日高総会議長
28日(金):(議員)委員会
29日(土):(小学校)学P活動スタンプラリー

実行委員として携わっているものも多く、これ以外に通常夜に会議が行われています。
もちろん経営者でもありますので、余白は全て仕事の上でのプラスアルファがこの予定です。働き方改革やワークライフバランスの枠の外にいる人種ですね。

このように私自身は小学校、中学校、地区、商工会の役員や事業の実行委員など数多く担っておりますが、議員として地域の担い手を選ぶことは大変困難な道を歩ませることになります。

豊岡や日高に限らず、田舎での若年層の議員は、現状では専業議員としての生き方を選ぶ方がベターではないでしょうか。