2024年7月22日月曜日

病院組合議会、2年に1度の管外視察へ

 2年に一度実施される病院組合議会の管外視察研修。昨年は管内視察ということで組合内の各病院を訪問しましたが、3年の在籍のうち1年目はコロナ下ということで見送られており初の参加でした。議員はもちろん当局職員や事務局含めて総勢20名弱。大型バスで一路広島へ。

1日目:広島県三次市
 三次市は中国地方のほぼ中央に位置し、山陰と山陽を結ぶ交通の要衝(ようしょう)という環境の中で、古くから栄えてきました。この地に住む人々は、三次盆地に流れ込むいくつもの川と、中国山地から産出する山砂鉄(やまさてつ)による「たたら製鉄」などの資源を活用しながら、生活してきました。
 明治22(1889)年の町村制を施行する前の時期は、100を超える町村がありました。明治・昭和の合併を経て、三次市・君田村・布野村・作木村・吉舎町・三良坂町・三和町・甲奴町の8市町村となり、平成16(2004)年4月1日に合併し現在の三次市が誕生しました。
三次市
人口(R6/6/1)
48,291人
面積
778.18㎢
産業別
第1次 10.5%
第2次 20.8%
第3次 63.4%
分類不能 5.3%
就業人口
24,930人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
豊岡市
人口(R4/10/1)
75,500人
面積
697.55㎢
産業別
第1次 5.6%
第2次 26.6%
第3次 66.5%
分類不能 1.3%
就業人口
39,194人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時

・視察先:三次中央病院と備北ネットワーク
-概要-
・三次と備北地区は仲が良い地域で連携良い
・地域完結型医療を目指して
・高齢化率が高い地域で脳卒中と心筋梗塞、外傷も多い
・休日夜間救急センター 市内の医師も高齢化に伴い閉所が続き内科しかできない 外科と小児科は三次中央が受け持ち
・救急との連携がしっかりとれている 初回応需率97% 大学から医師が常駐
・昨年度経営強化プラン策定 感染症、災害に強い病院として
・病院の建て替えが徐々に進む 電子カルテ完全クラウド化
・医師看護師の確保が大命題 H6は34人がR5は83人に
・医師看護師の研修費用は無制限 院外で研修を受ける分全額負担でしている チーム医療の充実につながった
・スケールメリット活用で費用削減
・エコー機器はレンタル 使わないところは中古 病院全体で管理
・iPadを医師看護師に配布 電子カルテが出張先でも見られる
・同じシステムを地域の診療所の先生にも開放 地域の医師にかかっている患者情報は開放
・島根県南から県北11病院の連携による研修プログラム
・県補助を活用して大学の医局と全く関係なしに医師を受け入れている
・備北地域医師育成活躍支援協議会は県の補助で臨床セミナーなど出張費用も
・地域診療支援病院 歯科訪問診療者整備 無歯科医地区中心で診療スタッフはシニアスタッフ
・備北メディカルネットワーク 設立前から協議会や会議でお互いよくわかっていたので経営母体が全て違ってもお互い連携 全国初認可
・地域フォーミュラリー9つ
・健全経営 自治体立優良病院総務大臣表彰2回
・病院の持つ在庫をほぼゼロにし地道に収支均衡 H14が最後の単年度赤字
・医業収益 患者数が右肩下がり、患者単価は右肩上がり H28までは一般会計から繰り入れ 過去の借り入れが経営を圧迫しているわけではない
・入院収益確保対策 入院が大きく占める医業収益増加が必須 一日当たりの目安を設定 目安があることでベッドコントロールがしやすくなった
・時短計画作成 80時間を超える 6診療科10名以上 ガイドラインで労働時間と研鑽を区別

-所感-
インセンティブをどう与えるか、研修費用医師看護師全額病院持ちやiPad配布と電子カルテクラウド化や完全カード化など処遇改善はもちろん経営改善にも尽力。 ただ、無医地区全国2位という地域性や元々の連携意識の高さに加え、広島大医局との連携は優位性が高い。 電子カルテはデジタルネイティブ世代の若手医師には必須。それでなくても新しい病院や大きい病院が選ばれるなか、どこに優位性を見出すかは重要だと思う。 ドクターカーならぬ移動歯科医師車は今後必要性が出てくるかと。市の施設地域集約化もあり、魅力ある地域と熱心な先生の活動などの賜物だと感じました。 

 宿泊は福山駅近く。幼少のころ、母の里帰りで新幹線から見た福山城が目の前に!夕食まで1時間程度空き時間があったので足を運んでみました。松本城に続いて1か月の間で2つ目のお城です。また訪問した時期はローズフェスティバルの最中で市内あちこちにバラの植栽がとってもきれいでした! 

2日目:兵庫県小野市・三木市

小野市
人口(R6/5/31)
47,011人
面積
93.84㎢
産業別
第1次 2.7%
第2次 36.3%
第3次 58.3%
分類不能 2.7%
就業人口
23,363人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
三木市
人口(R6/5/31)
73,571人
面積
176.51㎢
産業別
第1次 4.2%
第2次 30.4%
第3次 63.6%
分類不能 1.8%
就業人口
34,689人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
豊岡市
人口(R4/10/1)
75,500人
面積
697.55㎢
産業別
第1次 5.6%
第2次 26.6%
第3次 66.5%
分類不能 1.3%
就業人口
39,194人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時



・視察先:北播磨総合医療センター
-概要-
・地域医療の課題として、医師不足による診療化の急伸と中核となる病院の不在により既存の枠組みでの地域医療の確保が困難(5市2町)
・神戸大学の提案により両市民病院の統合による中核病院構想
・公立病院改革、医療資源の集中化による医療供給体制の見直し
・マグネットホスピタル 総合構想スタート
・基本理念 医療機能が充実し安心して医療が受けられること、患者にとっても魅力ある病院
・基本方針 5つ がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に加えて救急医療、小児医療、周産期医療と充実強化
・がんは北播磨の拠点病院
・34診療科450床
・看護師の離職が目立つ 昨年3月に2病棟100床閉鎖し、急性期・超急性期は厳しい
・10年前と比べて退院調整窓口が不足 病床450床を増やすことはない
・実稼働を高めよう
・病院長の上に企業長、副企業長としてそれぞれの市長が就任している
・医師数は統合時69人、今は185人
・看護師はコロナ前524人だったが減り続けて460人になり2病棟閉鎖
・離職対策を講じて増加に転じ、応募者は回復
・事務職員は50人近く 当初は三木小野から22人派遣 現在はプロパー化
・稼働病床は325/450床
・病床を閉めたので救急患者が受け入れできず救急からクレーム 三田済生会など受け入れ
・企業団議員10人 それぞれの市から5人
・財政負担は申し合わせ 建設は5対5、運営人口比6三木対4小野 出向職員も6対4

-所感-
 三木市と小野市にあった市民病院を神戸大の提案を受けて一本化したもの。負担割合は設置時5対5、運営6対4だが設置位置が小野市であり患者は逆だとか。看護師の大量離職が発生し、2病棟100人が入院できない状況になるも原因を突き止め、看護師の教育体制への対策をしっかり実施することで戻すことになった。 駐車場不足は職員駐車場確保から解消されたものの患者の待ち時間は豊岡病院ほどではないにせよある。県立のような30分とはいかないとも。 IDリンクは国が主導し始めているので単独整備はいらないと。情報の精査が必要である。 近隣の5市2町の役割分担があるようなないような、ただ選択肢が多くあるため環境がかなり異なるかと。救急救命医が1名しかいないため、20数名いる豊岡の優位性もあったのは良かった。 バックヤードも含めた見学は会議室不足が課題であり、豊岡病院も同じとのこと。学ぶ体制を構築するには考えなければならない所だと。

 改めて公立病院の役割の重要さと病院行政への地域全体での取り組みが不可欠と思いました。総合診療医の育成なら但馬と言われるくらいの体制を構築するために一つ一つしっかり考えて取り組んでいかなければなりません。

0 件のコメント:

コメントを投稿