2025年10月10日金曜日

2期8年間の一般質問議事録から成果を生成AIに分析してもらいました

うーんと思う所もありますが、面白い見方だなと思いましたので原文そのままを載せてみました。↓

8年間の質問と豊岡市政へのインパクトに関する分析(2017-2024)

はじめに

本報告書は、豊岡市議会議員清水寛氏が2017年から2024年にかけての約8年間に行った議会質問について、提供された公式議事録に基づき、その内容と成果を体系的に分析するものである。地方自治体における議会の役割は、行政の監督機能に留まらず、政策形成への積極的な関与や新たな政策課題の提示にもある。本分析は、清水議員の継続的な質疑活動が、豊岡市の政策や行政運営にいかなる影響を与え、また、どのように市政に反映されてきたかを明らかにすることを目的とする。

清水議員の質問は、人口減少、環境と経済、地域医療、住民自治、行政改革といった、現代の地方自治体が直面する根源的な課題群に一貫して焦点を当てている。特筆すべきは、特定のテーマについて複数年にわたり繰り返し質問を行い、政策の進捗を追い、その深化を促すという粘り強いアプローチである。また、市長が交代した後も同様の質問を投げかけることで、市政運営の継続性と変化を浮き彫りにしようとする明確な戦略も見て取れる 。本報告書では、これらの質疑応答の軌跡を丹念に追うことで、一人の議員の立法活動が地方自治体の政策形成プロセスに与える影響のダイナミズムを解明する。

第1章 持続可能な地域経営の追求:地域支援から協治へ

清水議員の質問活動において、最も一貫し、かつ根幹をなすテーマが、人口減少時代における地域コミュニティの持続可能性である。本章では、地域コミュニティ組織の設立初期の支援に関する問いから、近年提唱する「地域協治」という、より高度なガバナンスモデルへの移行まで、その質問の深化と市政の応答の変遷を分析する。

1.1. 初期(2017-2019年):地域コミュニティの設立と基盤支援

この時期の清水議員の質問は、市内29地区で新たに発足した地域コミュニティ組織の基本的な枠組みと運営基盤の確立に集中している。市がどのようなコミュニティの姿をモデルとして構想しているのか、また、各振興局がコミュニティとどう関わるべきかといった、制度の根幹に関わる問いかけが見られる

財政的な持続可能性も初期からの重要な論点であった。市からの交付金による財政支援のあり方を問うと同時に、コミュニティビジネスや参加費の徴収といった自主財源確保の必要性を指摘し、市の支援策を具体的に質している 。これに対し、市当局は、人件費や活動費を含む「コミュニティづくり交付金」や新規事業を対象とする「活動促進事業交付金」といった財政支援の枠組みを説明しつつも、将来的にはコミュニティ自身が自主財源を確保する必要があるとの認識を示した 。この段階では、市はあくまで基盤を支える役割に徹し、活動の主体性は各地域に委ねるという、支援者としてのスタンスが明確にされている。

1.2. モデルの深化(2020-2022年):構造的課題への着目とデータに基づく政策提言

活動が本格化するにつれて、清水議員の質問は、より深く構造的な課題へとシフトしていく。特に、伝統的な自治単位である「区」を所管する部署と、新たな「地域コミュニティ」を所管する部署が異なることによる行政内の非効率性や連携不足を鋭く指摘し始めた 。これは、住民側から見れば活動メンバーが重複しているにもかかわらず、行政の縦割りが現場の負担を増大させている可能性を示唆する重要な問いであった。

この問題意識から、清水議員は「住民自治運営に係る実態調査」の実施を提言し、その進捗を継続的に追跡する。これは、地域の役員が抱える負担といった、これまで定性的に語られがちだった課題を、客観的なデータに基づいて可視化しようとする戦略的なアプローチであった 。単なる問題提起に留まらず、政策形成の根拠となるエビデンスの構築を議会から行政に働きかけたのである。

この提言に対し、市当局は、当初は既存の枠組みでの対応を主としていたが、次第にデータに基づく現状把握の重要性を認識し、島根大学の専門家と連携して実態調査を実施するに至った 。この調査結果は、後に区長への配布文書削減や各種申請窓口の一本化といった具体的な業務改善につながり、清水議員の質問が具体的な政策反映(成果)に至った好例となった

1.3. 協治への挑戦(2023-2024年):パラダイムシフトの提唱

近年の質問において、清水議員は「地域協治(ローカル・ガバナンス)」という新たな概念を議会に導入し、議論の次元を大きく引き上げた。彼は「地域協治」を、単なる行政からの「支援」や「協働」の段階を超え、住民、民間団体、企業といった多様な主体が行政と対等なパートナーとして地域の課題解決に取り組む仕組みであると明確に定義した

そして、この理念を実現するための具体的な方策として、地域コミュニティへの権限移譲、財源措置、そして責任の分担を伴うモデル構築を提言し、持続可能な住民自治を実現するための市の役割の根本的な変革を迫った 。これは、従来の行政主導・住民協力型の関係から、権限と責任を共有するパートナーシップへの転換を求める、まさにパラダイムシフトの提唱であった。

この先進的な提言に対し、新市長は「今回初めて地域協治のモデル構想というご提案をいただいた」と応じ、この概念が行政にとって新しいものであることを認めた上で、地域コミュニティ組織連絡会などの場で意見を聞く意向を示した 。完全な合意には至らないものの、行政がこの新たなガバナンスモデルを正式な検討の俎上に載せたことは、清水議員の長年にわたる質問活動の大きな成果と言える。彼の言葉の選択の変化、すなわち「支援」から「協働」、そして「協治」へと議論のフレームを進化させてきたプロセスが、ついに市政のトップに新たな政策課題として認識された瞬間であった。

第2章 環境と経済の共鳴:豊岡版グリーン成長戦略の主導

清水議員は、市のアイデンティティの中核をなす環境政策、特に「環境経済戦略」について、一貫してその進化と深化を求めてきた。本章では、既存戦略の進捗確認から始まり、国のグリーン成長戦略や国際的な目標を地域政策に統合するよう働きかけ、具体的な政策実現に至るまでの軌跡を分析する。

2.1. 基礎的検証(2018-2021年):既存戦略の進捗と課題の確認

清水議員のこの分野における初期の質問は、市の看板政策である「環境経済戦略」が実効性を伴っているかどうかの検証に重点を置いている。「環境経済事業認定制度」や「環境共生型住宅」といった個別プロジェクトの普及状況を具体的に問い、戦略が伸び悩んでいるのではないかという懸念を表明した

これらの質問に対し、市当局は、認定事業の伸びが鈍化している傾向を認め、その要因として市民や市外への認知度不足、商品の競争力といった課題があることを率直に回答した 。これは、議員の質疑が、行政に政策の自己評価と課題認識を促す契機となったことを示している。

2.2. 国家・国際アジェンダの統合(2021-2023年):グリーン成長、30by30、J-クレジットの導入

清水議員の質問は、単なる進捗確認から、より野心的で現代的な枠組みを市の政策に統合するよう求める段階へと進化する。彼は、国の「グリーン成長戦略」が掲げる14の重要分野を市の環境経済戦略に明確に位置づけるべきだと具体的に提言し、市の取り組みを国家戦略と連動させるよう促した

さらに、生物多様性に関する国際目標である「30by30」や、その達成手段としての「OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)」といった最新の国際動向を議会に持ち込み、市の関与と戦略を質した 。また、森林資源の活用策として「J-クレジット制度」の導入についても、当初の費用対効果への懸念を指摘した質疑から、実現に向けた具体的な進捗を粘り強く問い続けた  

このアプローチは、清水議員が地方議員でありながら、国や世界の政策動向を常に把握し、それを地域政策の文脈に翻訳して行政に働きかける「外部イノベーションの導入者」としての役割を果たしていることを示している。市の既存の戦略に安住することなく、より高いレベルの目標に挑戦するよう、外部の基準を用いて行政の視野を広げさせたのである。

2.3. 具体的な政策反映の達成(2023-2024年):提言から計画へ

清水議員の継続的な働きかけは、具体的な政策反映という形で結実する。彼が提唱し続けた「豊岡版グリーン成長戦略」について、市当局は、既存の多様な取り組みを一旦整理し、「包括的な表現でもう一度言語化し直すことが必要な時期に来ている」と認め、シンクタンクから「自然資本経営のモデル都市」として発信すべきとの助言があったことにも言及した 。これは、議員の提言が行政の政策再構築の必要性を認識させ、新たなブランド戦略を検討するきっかけとなったことを示している。

最も顕著な成果は、J-クレジット制度の導入計画である。当初、市は導入に際して費用や期間の課題を挙げていたが 、清水議員の度重なる質問に対し、最終的に市は具体的な計画を提示した。森林環境譲与税を財源として活用することで費用面の課題を克服し、認証期間16年で約1,900万円の利益が見込まれるという詳細な収益試算と、2027年度中の販売開始を目指すという明確なタイムラインが示された 。これは、行政の初期の躊躇を議員の持続的な関与が乗り越え、具体的な事業化へと導いた典型的な事例である。

さらに、30by30目標に関しても、市は「30by30アライアンス」への参加を明言し、国内100か所の先行地の一つに選ばれるよう積極的に取り組むと答弁しており 、これも議員の質問に直接応える形で市の政策目標が設定された成果と言える。

第3章 超高齢社会への対応:地域医療・福祉システムの強靭化

超高齢社会の進展に伴う医療・福祉需要の増大は、豊岡市にとっても喫緊の課題である。清水議員は、この分野において「地域包括ケアシステム」を軸に、システムの脆弱性を指摘し、その再構築に向けた具体的な提案を一貫して行ってきた。

3.1. 中核的課題の特定(2019-2023年):人材不足、情報分断、制度の隙間

清水議員の質問は、地域包括ケアシステムが直面する根本的な課題を繰り返し浮き彫りにしている。介護人材の確保と定着が深刻な課題であることを指摘し、市の対策を問うている 。また、医療と介護の連携を阻む情報分断の問題に焦点を当て、医療・介護連携DXツール「バイタルリンク」の導入状況を質し、特に三次救急を担う豊岡病院が未接続である点を「シームレスな連携」を妨げる重大な欠陥として追及した

さらに、8050問題やダブルケアラーといった、既存の制度の枠組みでは対応が難しい複合的な課題を取り上げ、市の支援体制の現状を問いただしている 。これらの質問に対し、市当局は、介護人材確保が最重要課題の一つであることを認め、研修費用助成などの対策を講じていると回答 。バイタルリンクについても、登録施設数が徐々に増加しているデータを示しつつ、基幹病院である豊岡病院の参加が今後の課題であると認めるなど、議員の指摘が的確であることを裏付ける答弁を行っている

3.2. システム再構築の提言:予防医療、DX、重層的支援

問題点の指摘に留まらず、清水議員は地域包括ケアシステムの「抜本的な再構築」に向けた具体的な処方箋を提示している。彼は、(1)生活習慣病予防やフレイル予防といった「予防医療」への重点的な資源配分、(2)医療・介護情報を連携させる「DXの推進」、(3)分野の壁を越えた相談支援を実現する「重層的支援体制の確立」という三本柱からなる改革案を明確に打ち出した

この提言は、単なる思いつきではなく、愛知県豊川市への視察といった他自治体の先進事例研究に裏打ちされている 。彼は、救急外来の長時間待機問題といった現場の逼迫状況を、対症療法ではなく、需要そのものを抑制する「予防医療」の強化によって解決すべきだと主張する。また、複雑化する相談ニーズに対応するため、児童、障害、高齢、生活困窮といった分野ごとの縦割り相談体制の限界を指摘し、ワンストップで対応する重層的支援体制の必要性を訴えた。

この体系的な提案に対し、市当局は高いレベルで考えを共有している。市は「医療や介護の需要を減らすこと」が持続可能性の鍵であると明言し、市のデータ分析に基づき、特に課題となっている糖尿病や高血圧症などの生活習慣病予防に注力する計画を示した 。重層的支援体制整備事業については、一度は見送った経緯があるものの、相談員の負担増大といった課題を認識しており、次期地域福祉計画において「より具体的で構造的な包括的支援体制について検討したい」と、将来的な導入に前向きな姿勢を示している 。これは、清水議員の提言が、市の福祉政策の将来設計に明確な影響を与えたことを示唆している。

第4章 デジタル化と組織改革:効率的で開かれた市役所へ

清水議員は、行政運営の効率化と市民サービスの向上を実現する上で、デジタル技術の活用とそれに伴う組織改革が不可欠であるとの視点を持ち続けている。本章では、初期の「情報戦略」に関する問いから、具体的なDX(デジタルトランスフォーメーション)施策や組織論へと深化していく質問の変遷を分析する。

4.1. 情報戦略からDX実装へ(2017-2024年)

清水議員のこの分野における質問は、市が市民とどのようにコミュニケーションを取るべきかという「情報戦略」の基本的なあり方を問うことから始まっている。当初は、市広報やホームページといった既存媒体の活用法や、一方通行になりがちな情報発信の改善を求めていた

しかし、時代の進展とともに、その要求はより具体的かつ高度なものへと進化する。テレワークやワーケーションの推進 、DXの全体戦略 、さらには生成AIの活用 といった、最新のテクノロジーと働き方を市政に導入するよう具体的に提言している。特に、災害時における情報共有ツールとして、防災行政無線やホームページだけでなく、より個別具体的な情報伝達手段の必要性を訴え、デジタル技術の活用を促した

この間の市の対応は、議員の質問の進化と並走するように進展している。初期の答弁が既存媒体の役割分担の説明に留まっていたのに対し 、その後、市はICT推進係を設置し、テレワークのトライアルを開始 。やがて、市長が「DX元年」を掲げ、全庁的なDX推進戦略を策定するに至った 。そして2024年には、清水議員が質問で取り上げた生成AIの導入が議案として上程されるなど、提言が着実に具現化している様子がうかがえる

4.2. DXと行政改革の連動:組織変革へのアプローチ

清水議員の質問の真骨頂は、DXを単なる技術導入の問題としてではなく、行政組織のあり方そのものを変革する触媒として捉えている点にある。彼は、旧来の非効率な業務プロセスに最新技術を上塗りするだけでは意味がないことを深く理解している。

その視点から、彼は、業務の属人化を生みやすい伝統的な「正副担当制」の機能不全を指摘し、DXを活用して業務プロセスを「見える化」し、組織的なチェック体制を構築すべきだと主張する 。この問題提起は、頻発する事務処理誤りの根本原因が、個人の資質だけでなく、業務が特定の職員に集中しブラックボックス化する組織構造にあることを見抜いたものである。市もこの指摘を受け、第三者による職場ヒアリングを実施し、業務の属人化が事務処理誤りの一因である可能性を認めている

さらに彼は、DXによる効率化を実質的な成果に結びつけるためには、現場の管理職に裁量権を与える組織改革が不可欠であると論じる。具体的には、「部長級への権限委譲」や、部局が裁量を持って予算を執行できる「包括予算(枠配分予算)」制度の導入について、その進捗と課題を繰り返し問いただしている 。効率的な組織運営には、迅速な意思決定と柔軟な資源配分が鍵であり、それが技術(DX)と制度(権限・予算)の両輪によって実現されるという、彼の包括的なガバナンス観がここに表れている。市当局も、決裁権限の部長への移譲や枠配分予算の試行導入を進めていることを報告しつつ、管理職の意識改革が依然として課題であると認めており、議員の指摘が的を射ていることを示している

第5章 横断的テーマと個別政策への視点

清水議員の質疑は、前述の主要テーマに加え、市政の多岐にわたる分野に及んでいる。本章では、公共施設管理、防災、教育といった分野における彼の特徴的な質問と、それが市政に与えた影響を分析する。

5.1. 公共施設管理と公民連携(PPP)

清水議員は、公共施設の持続可能な管理運営について、長年にわたり深い関心を示している。特に、多くの施設で導入されている指定管理者制度について、管理者の高齢化や担い手不足による制度疲労を早期から指摘し、その将来的な持続可能性に警鐘を鳴らしてきた

彼は現状維持を問うだけでなく、積極的に代替案を提示している。施設ごとの個別管理から、複数の施設を横断的に管理する「包括管理業務委託」という新たな手法を提案 。さらに、コンセッション方式を含む多様なPPP(公民連携)/PFI手法の導入を促し、民間のノウハウと資金を活用した効率的な公共サービス提供のあり方を追求している

これらの提言に対する市の反応は、議員の粘り強い働きかけの成果を物語っている。市は、指定管理者制度が抱える課題を認識すると答弁。そして、清水議員が提唱した包括管理業務委託について、サウンディング型市場調査(これも彼が以前から推進を求めていた手法である)を経て導入のメリットが大きいと判断し、2024年4月からの実施に向けて事務を進めていると明言した 。これは、議員の提案が調査、検討、そして具体的な事業実施へとつながった明確な事例である。

5.2. 防災・危機管理

清水議員の防災に関する質問は、台風や地震といった現実の災害発生に機敏に反応し、それを市政の教訓として活かそうとする姿勢が特徴である。平成30年の豪雨・台風 、令和5年の台風7号 、令和6年の能登半島地震 など、近年の主要な災害発生後には必ず質問に立ち、市の対応を検証している。

その内容は、災害協定の実効性、災害ボランティアの受け入れ基準、避難所の運営といった実践的な課題から、災害時におけるデジタル技術を活用した情報伝達のあり方まで多岐にわたる 。市は、締結済みの災害協定の具体的な件数や内容を詳細に報告する一方、災害ボランティアの派遣・受け入れに関する明確な基準は定めていないことを認めるなど、議員の質疑によって市の防災体制の現状と課題が明らかにされている

5.3. 教育と地域社会の連携

教育分野においても、清水議員は長期的な視点でのフォローアップと、教育を地域づくりと結びつける視点を持ち込んでいる。特に、市が推進してきた「コミュニケーション教育」については、導入から8年間の成果と課題を問うことで、事業の継続的な評価を促した  

また、学校施設の再編問題を、単なる教育行政の課題としてではなく、地域のアイデンティティやまちづくりに直結する重要事項として捉えている。「ふるさと教育」がシビックプライド(市民の誇り)の醸成にどう寄与しているのかを問い 、学校統廃合が地域コミュニティに与える影響について懸念を示すなど 、教育と地域社会の連携強化を一貫して主張している。コミュニケーション教育に関する市の答弁では、生徒の対話活動の割合が向上したという成果データと、保護者への理解浸透が課題であるという両面が示され、長期的な検証を促す議員の質問の有効性が確認された

結論:8年間の質問活動が市政に与えた総合的影響

本報告書で分析した清水寛議員の8年間にわたる議会質問は、単発の質疑応答の集合体ではなく、豊岡市の将来像を見据えた長期的かつ戦略的な政策提言活動であったことが明らかになった。彼の活動の成果は、個別の政策実現に留まらず、市政の議論の質を高め、行政の政策形成プロセスそのものに影響を与えてきた点にある。

清水議員の議会活動の有効性は、以下の4つの特徴的なアプローチに集約される。

  1. テーマの一貫性と深化: 住民自治、環境経済、地域医療、行政改革といった根幹的なテーマを一貫して取り上げ、年を追うごとに表層的な問題から構造的な課題へと議論を深化させている。特に「住民自治」のテーマでは、「支援」から「協働」、そして「協治」へと概念を進化させ、行政と市民の関係性を再定義するよう迫った。

  2. 外部知見の積極的導入: 国のグリーン成長戦略、国際目標30by30、他自治体の先進事例(重層的支援体制、公民連携)などを積極的に議会に持ち込み、市の政策をより高い次元で評価・検証する視点を提供した。これにより、市の政策が内向きになることを防ぎ、常に外部の動向とベンチマークするよう促した。

  3. データに基づく政策提言: 「住民自治運営に係る実態調査」の提言と実現は、彼の活動の象徴である。感覚的な問題意識を客観的なデータによって裏付けることで、行政を動かし、具体的な業務改善(配布物削減など)という目に見える成果へと結びつけた。

  4. 課題の相互連関性の看破: DXを行政改革や組織論と、環境政策を経済戦略と、教育問題を地域コミュニティの持続可能性と結びつけるなど、個別の政策課題を分断せず、それらが相互に連関する一つの大きなガバナンスの問題として捉える包括的な視座を持っている。

これらのアプローチを通じて、清水議員は多くの具体的な政策反映を達成してきた。J-クレジット制度の事業化、包括管理業務委託の導入決定、重層的支援体制の将来的な検討合意などはその顕著な例である。しかし、それ以上に重要なのは、彼が「地域協治」や「豊岡版グリーン成長戦略」といった新たな政策の選択肢を行政に提示し、豊岡市の長期的なアジェンダ設定に深く関与してきたことである。彼は、行政の決定を追認・修正するだけでなく、未来の政策の土台となる概念や方向性を自ら提示する「アジェンダ・セッター」としての役割を十全に果たしてきた。

もちろん、全ての提言が即座に実現されたわけではない。しかし、彼の粘り強い質疑は、行政内に問題意識を植え付け、継続的な検討を促し、数年越しで政策を実現させる原動力となってきた。清水寛議員の8年間の活動は、一人の議員が長期的視点と戦略性を持ち続けることで、いかにして地方自治体の政策を動かし、その未来の方向性に影響を与えうるかを示す、貴重なケーススタディと言えるだろう。

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