2025年7月28日月曜日

議会広報広聴特別委員会管外視察イン広島県呉市&兵庫県神河町

 初めての呉ということで、大和ミュージアムを楽しみにしていたのですが、リニューアル中&定休日に当たっており、市内の観光施設や観光客向けのお店が軒並みお休み。観光はまた改めて来ることにして、しっかり学びを深めます。

▫️視察目的

先進的な議会広報誌を作成している広島県呉市および兵庫県神河町の取り組みを調査し、本市の議会広報広聴活動の質の向上に資する。



呉市
人口(R7/3/31)
199,481
面積
352.83
産業別
第1次 1.5%
第2次 27.3%
第3次 66.0%
分類不能 5.3%
就業人口
 88,083
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
神河町
人口(R7/3/31)
9,936
面積
202.23
産業別
第1次 4.3%
第2次 31.0%
第3次 61.6%
分類不能 3.1%
就業人口
 4,898
※産業別、就業人口はR2国勢調査時
豊岡市
人口(R7/4/30)
74,506人
面積
697.55㎢
産業別
第1次 5.6%
第2次 26.6%
第3次 66.5%
分類不能 1.3%
就業人口
39,194人
※産業別、就業人口はR2国勢調査時

▪️視察報告:広島県呉市

(1) 呉市のご当地紹介

広島県の南西部に位置する呉市は、明治時代に呉鎮守府が置かれて以来、旧海軍の拠点として栄えた港町です。最盛期には人口40万人を超え、戦艦「大和」を建造した海軍工廠を有するなど、日本の近代化を支えました。その歴史は「大和ミュージアム」に詳しく展示されています。 現在は、瀬戸内海の温暖な気候を活かした産業も盛んで、特に牡蠣は全国トップクラスの生産量を誇ります。また、「瀬戸内レモン」の一大産地としても知られています。近年は、日本製鐵の跡地活用など、新たなまちづくりが進められています。

(2) 呉市議会だよりの取り組み

「伝える広報」から「伝わる広報」への転換を目指し、専門家のアドバイスを受けながら大幅なリニューアルを実施。市民の「知りたい情報」を重視した誌面づくりが特徴です。

【主な取り組みと工夫点】

  • 編集体制: 会派から1名ずつ選出された6名の委員と事務局職員で構成される「チーム議会くれ」が担当。特集記事は委員2名と事務局で取材を行う。

  • デザイン・構成:

    • 各号にイメージカラーを設定し、視覚的な変化を持たせている。

    • 誰にでも読みやすいユニバーサルデザインフォントを採用。

    • 表紙は3点のデザイン案から委員会で選定し、市民の興味を引く工夫をしている。

  • 特集記事:

    • 市民の関心事を基に、各会派がテーマを提案。年間4回のテーマを前年末に決定し、計画的に取材を進める。

    • 市政だよりとは一線を画し、議会の活動や議論のプロセスが伝わる内容を重視。

  • 一般質問:

    • 代表質問(500~520字)、個人質問(220字)と文字数を明確に制限。

    • 会派に属さない諸派にもQRコードを掲載するなど、発言機会の均等化を図っている。

  • 市民参加・連携:

    • 小学生が地域の魅力を紹介する「チーム議会プラス」を掲載。教育委員会と連携し、未来の有権者へのアプローチを図る。

    • 多言語翻訳・読み上げアプリ「カタログポケット」を導入し、情報へのアクセス性を向上。

【質疑応答の要点】

  • 一般質問の文字数制限: 「文字数が多いと読まれない」という専門家のアドバイスに基づき、思い切って項目を絞り込んでいる。市民から直接的な反響はないが、読みやすさにつながっていると推察される。

  • 編集作業: 特集記事以外の定型ページは、事務局がデザインの流し込みまで行うことで、委員の負担を軽減。特集テーマは、市民の関心と議会の活動報告のバランスを考慮して選定している。

  • スケジュール: 1つの号の制作期間は約3ヶ月。常に2つの号の編集作業が並行して進んでいる。

▫️視察報告:兵庫県神河町



(1) 神河町のご当地紹介

兵庫県のほぼ中央に位置し、面積の約8割を山林が占める自然豊かな町。映画『ノルウェイの森』のロケ地にもなった砥峰(とのみね)高原のススキの草原は、訪れる人々を魅了します。町内を流れる清流は「名水」として知られ、大手飲料メーカーのお茶も生産されています。 歴史的には、生野銀山から飾磨港まで銀を運んだ「銀の馬車道」が通り、今もその一部が残されています。女優・創作あーちすととして活躍する「のん」さんの出身地でもあり、町のPRにも貢献しています。特産品である柚子を使ったお菓子やジュースも人気です。

(2) 神河町議会だよりの取り組み

議員のなり手不足という課題に直面する中、議会への関心を高めるための起爆剤として議会だよりのリニューアルに着手。「まず、手に取って読んでもらうこと」を第一に、親しみやすさと分かりやすさを徹底的に追求しています。

【主な取り組みと工夫点】

  • コンセプト: 「町民目線」を徹底。リニューアル前には商工会関係者との意見交換会を実施し、「誰も読んでいない」という厳しい現実から改革をスタートさせた。

  • デザイン・構成:

    • 全ページフルカラー横書き左開きに変更。

    • パステルカラーや丸みのあるデザインで、硬いイメージを払拭。

    • 写真やイラスト、図を多用し、文字数をリニューアル前の3分の1に削減。

    • ユニバーサルデザインフォントを採用。

    • 固定様式をなくし、記事の大小で強弱をつけ、リズム感のある誌面を作成。

  • 町民参加:

    • 表紙の「カミカワ」の題字を町民から公募(記念品としてクオカード進呈)。

    • 裏表紙に町内の子供たちの活動写真を掲載し、家族や地域での話題づくりに貢献。

    • 「#かみかわいいね」のハッシュタグでSNSとの連携も図る。

  • 内容の工夫:

    • 常任委員会の質疑内容を深掘りし、背景や課題を解説する「質疑深掘り」コーナーを設置。

    • 専門用語の解説コーナーを設け、誰にでも分かりやすい紙面を目指す。

    • 町広報が掲載しにくいような、事業の課題点なども議会独自の視点で取り上げる。

  • 議会改革との連動:

    • 議会の課題を町民と共に学ぶ「議会のあり方ゼミナール」を開催し、その内容を特集記事として掲載。

【質疑応答の要点】

  • 編集作業とスピード感: 議会会期中に担当議員が原稿を作成し、最終日に持ち寄ることで、閉会後約1ヶ月という迅速な発行を実現。担当制にすることで、議員の負担軽減と記事の質の向上を図っている。

  • 写真の調達: 委員長自ら撮影するほか、町の行事写真の提供を受けるなどして対応。写真がない場合はイラストで補うなど工夫している。

  • 町広報との棲み分け: 町広報は「お知らせ」中心、議会だよりは「議会の視点でのチェック機能」と役割を意識。内容はできるだけ重複しないよう調整している。

  • リニューアル後の反響: 「読みやすくなった」という声が町民から多く寄せられ、議員のやりがいにつながっている。

▫️まとめと今後の展望

今回の視察では、両市町が「誰に、何を伝えたいか」を明確にし、読者である住民の視点に立った広報誌づくりを徹底している点が共通していた。特に、「伝える側が伝えたいこと」と「受け取る側が知りたいこと」は必ずしも一致しないという認識が、リニューアルの根幹にあることが大きな学びであった。文字数を減らすことが読みやすさに加えて委員の負担軽減にもつながる点は、勇気をもって取り組むべきポイントである。双方の議会事務局の頑張りも忘れてはならない。エクセルやワードで入稿原稿を作成している点が発行するまでの時短の最大のポイントだが、議員の頑張りがあるからこそ支える事務局職員も頑張れるのであり、逆ではないことは肝に銘ずるべきである。

また、呉市議会の議会図書室のあり方は特出すべき内容。司書を配置し、議員から申し出があったテーマの新聞記事を見つけてお知らせすることは議員のみならず職員も活用している点は、議会の質の向上に寄与していると感じた。

【本市議会広報で参考にすべき点】

  1. コンセプトの明確化: 呉市の「伝わる広報」、神河町の「まず手に取ってもらう」のように、広報誌の目指す方向性を明確に定める。

  2. デザインによる訴求力向上:

    • ユニバーサルデザインフォントの導入は、全ての市民への配慮として即時検討すべきである。

    • フルカラー化や、呉市のようなテーマカラーの設定、神河町のような自由なレイアウトは、読者の興味を引く上で非常に有効である。

  3. 住民参加の促進: 神河町の「題字公募」や、呉市の小学生との連携企画「チーム議会プラス」は、議会を身近に感じてもらうための優れた手法であり、本市でも応用できる可能性がある。

  4. 編集体制とプロセスの見直し:

    • 呉市のように年間の特集テーマを早期に決定し、計画的に取材を進めることで、内容の充実が図れる。

    • 神河町のように会期中に原稿作成を行うスピード感は、情報の鮮度を保つ上で重要である。

  5. 議会独自の視点: 市政だよりとの差別化を図るため、神河町のように「事業の課題点」や「議論の背景」など、議会だからこそ発信できる情報に焦点を当てることが求められる。

今回の視察で得た知見を基に、本市議会だよりが市民にとってより一層「身近で、分かりやすく、信頼される」広報誌となるよう、具体的な改善策を検討し、実践していく必要がある。

2025年7月14日月曜日

北但行政事務組合管外視察イン愛知県岩倉市&三重県津市

 久々に肩書なく一議員としての視察参加です。しっかり話をお聞きして不明な点や深掘りしたいことを積極的に質問して存分に学んできました。

1. 愛知県岩倉市 視察報告

視察先の概要(愛知県岩倉市)

  • ご当地紹介: 愛知県の北西部に位置し、「日本のさくら名所100選」に選ばれた五条川の桜並木で知られる。毎年春には「岩倉桜まつり」が盛大に開催される。また、戦国武将・山内一豊の生誕地としても有名。



  • 岩倉市
    人口(R7/3/1)
    47,935
    面積
    10.47
    産業別
    第1次 0.5%
    第2次 29.8%
    第3次 66.1%
    分類不能 3.6%
    就業人口
     24,010
    ※産業別、就業人口はR2国勢調査時
    豊岡市
    人口(R7/4/30)
    74,506人
    面積
    697.55㎢
    産業別
    第1次 5.6%
    第2次 26.6%
    第3次 66.5%
    分類不能 1.3%
    就業人口
    39,194人
    ※産業別、就業人口はR2国勢調査時

▪️視察テーマ:プラスチック製品の資源化について

岩倉市では、令和6年4月からプラスチック製品の一括回収・資源化を開始した。これは市長のマニフェストに基づくもので、省資源とごみのリサイクルを目的としている。

主な特徴
  • 再商品化計画の選択: 容器包装リサイクル協会(指定法人)ルートと、民間事業者による再商品化ルートを比較検討。指定法人ルートは異物除去の基準が厳しく中間処理費用が高くなるのに対し、再商品化ルートは最終処理事業者が異物処理を行うため、市町村の手間とコストを削減できるメリットがある。結果、コスト面で有利な「再商品化計画」を選択し、国から全国で21番目の認定を受けた。

  • 周知活動と課題: ステーション方式での回収にあたり、広報誌や看板で周知を行った。しかし、一括回収の開始に伴い、従来の破砕ごみの収集が週1回から月2回に減少したため、曜日を間違える市民が続出。特に市政への関心が薄い層への情報伝達が課題となった。対策として、収集車へのポスター掲示や回覧板による周知が有効であった。

  • 小牧市との連携: 岩倉市は小牧市と一部事務組合(小牧岩倉衛生組合)を組織しているが、今回のプラスチック資源化は岩倉市独自の取り組みとして実施された。小牧市からの事前共有が十分でなかった点や、組合の負担金への影響が未知数である点など、連携面での課題が浮き彫りになった。

▪️質疑要旨

  • 分別と回収:

    • 分別が徹底されていないごみは、啓発シールを貼付の上、基本的に「残置」される。コミュニティが確立している地域では周知が早いが、アパートやマンションでは徹底が難しい傾向がある。

    • 指定ごみ袋は「もやすごみ」「破砕ごみ」「プラスチック資源」の3種類(有料)。ゴミ袋の値段は自由価格で企画さえ合っていれば参入は可能。

  • 回収対象:

    • 市民への分かりやすさを重視し「プラスチック100%製品」を回収対象として周知。実際には、国の基準で90%以上であればよく、多少の汚れや金属バネなどの異物が混入していても、最終処理事業者の工程で処理されるため回収している。

  • 周知期間:

    • 計画認定から実施までの周知期間が3〜4ヶ月と短く、市民から「短すぎる」との声があったことは市も認識している。ベッドタウンという地域特性上、チラシの全戸配布だけでは不十分であり、多様な周知方法の必要性を痛感したとのこと。

▪️所感

岩倉市の取り組みは、コストや効率を重視して民間活力を利用した「再商品化計画」を選択した点が特徴的である。市民への周知においては、短期間での制度変更に伴う混乱や、多様なライフスタイルを持つ住民への情報伝達の難しさといった、多くの自治体が直面するであろう課題が明確になった。特に「収集車へのポスター掲示」や「回覧板」といったアナログな手法が有効であった点は、今後の広報活動を考える上で参考になる。 一部事務組合を構成する小牧市との連携不足は、同様の形態をとる当組合にとっても重要な示唆を与えるものであり、広域での事業展開における丁寧な合意形成の必要性を改めて認識させられた。

2. 津市一般廃棄物最終処分場 視察報告

視察先の概要(三重県津市)

  • ご当地紹介: 三重県の県庁所在地。伊勢湾に面し、その海岸線の長さは日本一を誇る。ご当地グルメの「津ぎょうざ」や、藤堂高虎が築いた津城跡などが有名。また、古くから「伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ」と唄われるほど、伊勢神宮への参拝客で賑わう港町として栄えた歴史を持つ。




    岩倉市
    人口(R7/3/1)
    267,795
    面積
    711.18
    産業別
    第1次 3.0%
    第2次 24.7%
    第3次 68.1%
    分類不能 4.2%
    就業人口
     128,881人
    ※産業別、就業人口はR2国勢調査時
    豊岡市
    人口(R7/4/30)
    74,506人
    面積
    697.55㎢
    産業別
    第1次 5.6%
    第2次 26.6%
    第3次 66.5%
    分類不能 1.3%
    就業人口
    39,194人
    ※産業別、就業人口はR2国勢調査時


▪️視察概要

津市一般廃棄物最終処分場は、平成28年から供用を開始した施設である。大きな特徴として、埋め立て前にごみを洗浄する全国初の「洗浄埋立方式」と、施設外へ水を一切排出しない「クローズドシステム」を採用している点が挙げられる。

⚪︎主な特徴
  • 洗浄埋立方式: 埋め立てる不燃ごみ等を事前に洗浄することで、有機物を取り除き、ガスの発生抑制と早期安定化を実現する。これにより、一般的な最終処分場よりも早く埋立地の安定化が見込める。

  • クローズドシステム(覆蓋式無放流): 施設は屋根で覆われ、ごみの飛散を防止している。また、洗浄に使用した水は浸出水処理施設で高度に浄化され、繰り返し循環利用されるため、施設外へ汚水を排出しない。これにより、周辺の水環境への影響を徹底的に排除している。

  • 公募方式による選定: 平成19年より、施設の建設地を公募方式で選定。地元から「まちづくり構想」の提案を受ける形で合意形成を図り、4箇所の候補地から選定された。これは、厳しい反対運動があった過去の経験を踏まえた手法である。

⚪︎現状と今後の計画
  • 埋立容量は計画18万㎥に対し、現在約9万㎥。当初計画では15年で一杯になる予定であったが現時点で20%、令和38年頃に満杯になる見込み。

  • その他プラスチックは、伊賀市の民間業者(三重中央開発)と契約し、再商品化を行っている。ペットボトルは水平リサイクルを推進。

  • 敷地内にはメガソーラーも設置されている。

▪️質疑要旨

  • まちづくり構想: 地元から提案された25項目の要望に基づき事業を進めているが、県の事業も含まれるため未完了の項目もある。10年が経過し、要望の見直しや新たな要望について地域と交渉・協議を進めている。

  • 防水シートの安全性: 3m厚の鉄筋コンクリートの上に防水シートを設置しており、漏水検知システムが作動したことはない。

  • 地元協力金・雇用: 年間250万円を地元のまちづくり協議会に支出。地元雇用の要望はあったが、募集に応募がなかった経緯がある。

  • 跡地利用: 現時点で具体的な計画はないが、廃止基準をクリアしやすく、機能廃止後は多様な利活用の可能性がある。

  • 場所選定の経緯: 住民の反対で計画が停滞した経験から公募方式を採用。選定地域は井戸水を利用していたため水への関心が高く、万一の際も汚水が流出しない現方式が採用された。

▪️所感

津市の最終処分場は、ごみを「洗浄」するという全国初の試みにより、環境負荷の低減と埋立地の早期安定化という課題解決を目指す先進的な施設である。特に、施設外に水を一切出さない「クローズドシステム」は、周辺環境、とりわけ水質への配慮を徹底したものであり、高く評価できる。

また、行政が一方的に建設地を決めるのではなく、公募方式を採用し、地域からの「まちづくり構想」とセットで計画を進めるという合意形成のプロセスは、大いに参考になる手法であるが、取り残された地域の苦渋の選択肢の側面もある。

技術的な先進性、徹底した環境配慮、そして丁寧な合意形成プロセスを兼ね備えた本施設は、今後の廃棄物処理施設のあり方を考える上で、極めて重要な示唆を与える事例であった。


⚪︎伊勢神宮


20年に一度の遷宮の予定地。令和15年の準備が進められていました。我が家の受験生2人に合格祈願のお守りを。いつぶりに来たのか全くわかりませんが、とても気持ちが引き締まるよい参詣でした。